赤い月


厳密にはチェダーチーズのようなオレンジで、でかかった
平素の色味に対して「赤い」という感想なのだろうと思う
珍妙なでかい丸が、ところどころ雲に隠れて見えない夜空の下
川面ではアオサギが所在無さげに立っていた
脚が細くて体はこんもりとしていて
あまりにバランスが悪く見えて
進化の過程でなんでこんなことになったのかと思ったが
彼らから見れば人間の方が何でそんな形なのという話だろう
しかしこれも青くはないのに「アオサギ」で、
うかつに色を口にすると何かが見えなくなるような気がして
取り敢えず家路を急いだ
何かに化かされそうな夜だ