都会と疑問

夜10時、繁華街の脇道のくらがりの中から、パチともカチともつかない音が連続して聞こえてくる。
近づくにつれ大きくなってゆく音。目を凝らすとそこにいるのは、鞄を小脇に挟み、身をかがめて両手で何かをしている、40がらみの中肉中背のサラリーマン。目が合ったら、逃げちゃった。
いや別に、何してるのかなーって思っただけなんだ。
でもなぜそこで……爪を切っていたのかな。